首都圏のマンションを中心に人気の設備として導入されているディスポーザー。
今回はディスポーザーが設置可能なシンクの条件や、設備の事前準備、おすすめのシンクについて説明していきたいと思います。
ディスポーザーの設置を検討されている方や、ディスポーザー付きマンションにお住まいでキッチンリフォームをご検討されている方は是非とも参考にしていただけると幸いです。
※ディスポーザーの単独使用(下水道直接放流)はほとんどの地域で認められていません。単独使用をご検討の方は設置の可否についてお住まいの自治体へご確認ください。
取付可能なシンクの条件
ディスポーザーを設置する際の確認点としては2つあります。
1つめが排水口径です。ディスポーザー自体が取付けできるかの確認となります。
2つめが収納部(キャビネット)です。ディスポーザー本体が干渉なく収まるかの確認となります。
それぞれについて説明していきます。
排水口径の確認(180mmまたは115mmであればOK)
排水口径は排水トラップの縁(フチ)の部分のサイズとなります。※穴のサイズではありません。
ディスポーザーのシンクフランジ(シンク取付部)のサイズとしては、
- 180mm用(国内メーカー標準)
- 115mm用(海外メーカー標準)
の2種類となります。
従って、シンクの排水口径が180(186)mmまたは115mmであれば取付可能です。
シンクの材質はステンレスだと問題はありませんが、人工大理石の場合はごく稀にヒビや割れが生じる場合があります。
基本的にキッチンメーカーは、ディスポーザーの取付に関してはノータッチというスタンスです。当然ながら取付後のシンクの保障はしておりませんので、特に人口大理石シンクに取付ける際は、万が一、ヒビや割れが生じても自己責任であるという事をご理解ください。
※人工大理石シンクでディスポーザーの取付可としているキッチンメーカーはトクラスのみとなります。
排水口径180(186)mm
国内メーカーの標準仕様となります。
国内メーカーのディスポーザーのシンクフランジは180mm(180仕様ディスポーザー)となっていますので直接取付可能です。
海外メーカーのディスポーザーのシンクフランジは115mm(115仕様ディスポーザー)となっていますが180mmのアダプタを装着することで取付可能となります。※180mmのアダプタは標準装備されています。
シンク側の形状はこんな感じです。
排水口径115mm
海外メーカーの標準仕様となります。
国内メーカーで取付可能なのは、115mm用のシンクフランジを所有している安永クリーンテック、フロム工業のみとなります。
シンク側の形状はこんな感じです。
その他の排水口径
180(186)mm、115mm以外の排水口径でも、専用のアダプタがあれば取付可能となります。
専用アダプタ + 115仕様ディスポーザー ⇒ 取付可能
現在、専用アダプタが確認できているのは
- 173mm
- 170mm
- クリナップ製楕円
となります。上記のシンクであれば専用アダプタを準備することで取付可能となります。
以下、専用アダプタについての資料を貼り付けておきます。
●173シンク用アダプタ
●170シンク用アダプタ
●クリナップ製楕円シンク
クリナップ製楕円シンク用アダプタ(参考)
ディスポーザー取付後
取付不可な排水口
下の写真のように排水口径が115mmよりも小さな排水口のシンクには取付できません。
※一般的には取付不可と断られるケースが多いですが、穴を大きく加工して取付される特殊な業者さんもいます。どうしてもディスポーザーを設置したい方は一つの選択肢としてお願いしてみるのも良いかもしれません。(あくまで自己責任となります)
まとめ:取付可能な排水口径について
排水口径の各種、取付可能なディスポーザーについてまとめてみました。
一番汎用性があるのは、排水口径180mmのステンレスシンクとなります。
収納部の確認
シンク下の収納部にディスポーザー本体が収まるかの確認が必要となります。
扉式キャビネットの場合
キャビネットが扉式の場合は、基本的に干渉するものはありませんので問題ありません。
引き出し式キャビネットの場合
キャビネットが引き出し式の場合は、引き出しの奥側がディスポーザー本体に高さ方向で干渉する可能性が極めて高いです。ディスポーザー取付面から引き出し上面までの寸法を確認して高さ方向で干渉する場合は、干渉する部分の加工が必要となります。
キッチンメーカーによってはディスポーザー対応のキャビネットを所有している場合があります。キッチン仕様の選定段階であればキッチンメーカーに確認してみましょう。
●ディスポーザー対応キャビネット(参考用)
引き出しの一部がくり抜かれていて、ディスポーザー本体のスペースが確保されています。
●引き出しの奥側の面の一部を加工した例
製品の高さが低い場合は、引き出しの加工不要、または最小限(奥側の面のみ)の加工で取付できる場合があります。奥側の一面のみパラっと加工するだけなので加工の難易度は下がります。ディスポーザーを後付けする場合は高さの低い製品も検討してみましょう。
高さの低い製品ランキング
- 212mm:フロム工業製 YS-7000LB(容量1.0L)
- 230mm:フロム工業製 YS-7000L(容量1.3L)
- 230mm:リクシル製 minipo(容量1.0L)
- 235mm:パナソニック製 KD-133(容量1.2L)
設置前の準備
ディスポーザーを運転するには100Vの電源が必要となります。キャビネット内に専用電源コンセント(100V15Aアース付き)を準備してください。
配管は40Aのサイズで準備しておけば、ディスポーザーの配管接続部品で簡単に接続することができます。※50Aの場合でも最終的に40Aに変換すれば問題ありません。
ディスポーザーと相性の良いシンク
私が考えるディスポーザーと相性の良いキッチンの条件は排水口が奥や隅に配置されている事です。
シンクは食器洗いの作業スペースでもあります。シンク中央に排水口があると、生ごみだけでなく、スプーンや異物まで落とし込みやすくなってしまいます。
排水口が奥や隅に配置されていれば、作業スペースが広くなるだけでなく、異物の誤投入も少なくなると思います。
以上を踏まえ、180mmと115mmのシンクから1つずつ紹介させていただきたいと思います。
180mm:リクシル製 ナイアガラフロー方式のシンク
排水口は奥側に配置。水は排水口に向かって流れるような仕組みになっています。
注意点①:排水口の選定
排水口径が180mmは以下の3種類となります。シンクはこの中から選定してください。
注意点②:キャビネットの選定
キャビネットは【ディスポーザー対応キット】を選定してください。
※標準の引き出し式キャビネットではディスポーザー本体と干渉します。
※扉式の場合は問題ありません。
取付可能なディスポーザー
国内メーカー、海外メーカー問わず取付可能です。
115mm:クリナップ製 流レールシンク
排水口は隅に配置。水は排水口に向かって流れるような仕組みになっています。排水口周りがポケットになっているので生ごみのカスが投入口周辺に付着しても水を流せば勝手に投入口に入ってくれそうです。
注意点:キャビネットの選定
キャビネットは【ディスポーザー対応キャビネット】を選定してください。標準のキャビネットよりも奥行きが浅くなっています。
取付可能なディスポーザー(推奨)
流レールシンクの場合は、排水口径が115mm且つ、収納スペースの問題で本体の幅の大きい製品は取付できません。取付が確認できている2製品を紹介させていただきます。
●推奨①:フロム工業製 YS-8100-115
運転方式はバッチ式(フタスイッチ運転)となります。
投入口 本体
●推奨②:ISE製 AC-105-B
運転方式は連続式(外部スイッチ)となります。
投入口 本体
運転方式で製品を決めるのも良いかもしれませんね。
・バッチ式(フタスイッチ運転)
⇒フロム工業製:YS-8100-115
・連続式(外部スイッチ運転)
⇒ISE製:AC-105-B
ディスポーザー設置例
ディスポーザーが設置された写真をいくつか紹介します。配管部品の接続方法など参考にしてください。
ディスポーザー本体には臭気止め機能がありませんので、本体の排出管にトラップ部品を接続してください。トラップ部品は
- Sトラップ(床排水用)
- Pトラップ(壁排水用)
の2種類となります。設置環境に応じてどちらかを選定してご使用ください。※掃除口付(配管洗浄対応)のタイプもあります。
掃除口を設けない場合の配管接続例
掃除口を設ける場合の配管接続例(推奨)
マンションの場合は、定期的に配管洗浄が行われますので配管部に掃除口を設けてください。掃除口を設けることで本体の排出管を分解することなく配管洗浄が可能となります。
①Pトラップ使用例(90°Yの上部に掃除口)
立上排水配管を90°Y(チーズ)で分岐させて上部に掃除口を設けています。シンク下に配管カバー等があり高さ方向にスペースがない場合はこの方法が一般的です。配管を取り回すスペースが必要となるため、ディスポーザー中心と立上排水配管中心距離がある程度離れている必要があります。
②Sトラップ使用例(45°Yに掃除口)
立上排水配管に45°Yを接続して掃除口を設けています。シンク下に高さ方向でスペースがある場合はこの方法が一般的です。
③掃除口付のSトラップを使用例
掃除口付のSトラップを使用して掃除口を設けています。シンク下に配管カバー等があり高さ方向にスペースがない場合で、排水立上位置が本体のすぐ後ろでPトラップでは配管の取り回しができない場合はこの方法となります。
さいごに
日本ではまだまだ認知されていないディスポーザー。設備業者さんも「ディスポーザー」と聞くと耳を塞ぎたくなるぐらいキッチンの選定や設備について良く分からない製品となっています。
是非とも本記事が一人でも多くの方の参考になれば幸いです!
※本記事についてご不明な点がございましたら、takeda@frominfo.comまでご連絡ください。