首都圏のマンションを中心に人気の設備として導入されているディスポーザー。
日本では安全面を重視してバッチ式運転(フタスイッチ)が採用されています。フタのデザインや機能性は製品によって様々です。なかなか注目されることがないフタですが、本記事ではあえて注目して徹底解説していきたいと思います。
運転方式について
ディスポーザーの運転方式には、世界標準の連続式運転(外部スイッチ)と日本標準のバッチ式運転(フタスイッチ)の2種類あります。
それぞれの運転手順について簡単に説明します。※メリット、デメリットについては本記事では省略させていただきます。
連続式運転(外部スイッチ)の運転手順
- スイッチをON(給水も開始)
- 生ごみを少量ずつ投入していく
- 生ごみの処理が終わったら、スイッチをOFF(給水も停止)
となります。運転中は投入口が開いた状態なので、粉砕室内に手を入れると大変危険です。
連続式:構造上、運転中に粉砕室内に手を入れることができる(危険)
バッチ式運転(フタスイッチ)の運転手順
- 生ごみを先に粉砕室内に投入
- フタを投入口にセットしてON(給水も開始)
- 処理が終わったら(60秒タイマー)、スイッチをOFF(給水も停止)
となります。運転中は投入口はフタで覆われているため、粉砕室内に手を入れることができないので安全です。
バッチ式:構造上、運転中に粉砕室内に手を入れることができない(安全)
日本ではなぜバッチ式運転(フタスイッチ)が採用されているのだろうか?
日本ではまだまだ認知されていないディスポーザー。購入したマンションにたまたま設備として導入されているイメージの製品となります。使い方が分からない誰が使ってもケガをしないように、安全面重視でバッチ式運転(フタスイッチ)が採用されているのです。(たぶん。)
各メーカーのフタスイッチを確認
それでは各メーカーのフタの形状を確認していきましょう。私の主観で説明していきますので予めご了承ください。
テラル
【サイズ】縦98mm×幅98mm×厚62mm(重量89g)
【デザイン】重量感のあるデザイン。【収納性〇△】厚みあり。【清掃性〇】全体的に凹凸が少ない。
リクシル
【サイズ】縦143mm×幅114mm×厚20mm(重量55g)
細かな部分に汚れが堆積しそう 目皿が標準装備
【デザイン】スタイリッシュなデザイン。【収納性〇】薄型形状。【清掃性〇△】全体的に凹凸が少ないが4枚目の写真のようにお手入れしにくい箇所もある。【備考】目皿が付属。
安永クリーンテック
【サイズ】縦95mm×幅95mm×厚45mm(重量74g)
全体的に凸が多い 底が凹形状
【デザイン】取っ手など持ちやすく工夫されているがデザインとしては好みが分かれるところ。【収納性〇△】厚みが多少あり。【清掃性△】全体的に凸が多く底面が凹形状。【備考】底面の凹形状は、誤ってスプーンを投入して運転した場合、つっかえ棒ロックを誘発しやすくなる。※つっかえ棒ロックの場合はフタを回すことができなくなるので分解作業(有償)が必要となる。
パナソニック
【サイズ】縦108mm×幅108mm×厚42mm(重量91g)
【デザイン】丸みを帯びたデザイン。【収納性〇△】厚みが多少あり。【清掃性〇】全体的に凹凸が少ない。
マックス
【サイズ】縦143mm×幅143mm×厚60mm(重量178g)
分解構造となっていて、下側は目皿として使用可能
【デザイン】白色で清潔感がありシンプルなデザイン。【収納性△】業界一のビッグサイズ。【清掃性△】分解構造なので内部の清掃が必要となる。【備考】分解構造で下側は目皿としても使用可能。
フロム工業
【サイズ】縦129mm×幅129mm×厚27mm(重量47g)
中央凹部に大きな開口
【デザイン】スタイリッシュなデザイン。【収納性〇】薄型形状。【清掃性〇】全体的に凹凸が少ない。【備考】中央凹部に大きな開口を設けることで排水性重視の設計。
並べてみよう
大きさの比較などご参考に!
低騒音重視か?排水性重視か?
ディスポーザーがマンションに導入されだして間もないころ、運転中の騒音、振動についてとてもシビアに考えられている時代がありました。運転中の騒音の一番の要因は、粉砕室内の音が外部に漏れることにあります。運転中の騒音を小さくする方法として一番手っ取り早いのが、
フタの開口(または投入口との隙間)を小さくする!
です。フタの開口を小さくすることで使用時の水で開口が塞がれ、外部への音漏れが遮断され騒音が小さくなるのです。
フタの開口(または投入口との隙間)を小さくすると弊害もあります!
運転中はモーターが稼働するので、フタの開口が小さくても粉砕室内に水が引き込まれる(排水される)ので問題はありませんが、運転しない時や運転が停止した場合、水が排水されずにシンクがプール状態になります。ユーザーとしては使い勝手は良くはありません。
フタの開口:小→ 騒音は小さくなるが、排水性は悪くなる。
フタの開口:大→ 騒音は大きくなるが、排水性は良くなる。
【Memo】運転中はモーターが稼働するので開口が小さくても水が粉砕室内に引き込まれる
騒音、排水性についての考え方はメーカーによって様々なようです。個人的には3種類の考えがあると思っております。
考え①)低騒音を重視(運転しない時は目皿使用を推奨)
●採用メーカー:リクシル、マックス
フタスイッチと別に目皿が付属されていて、運転しない時は目皿を使用することを推奨している。
【メリット】
- フタの開口が小さいので運転中は低騒音。
- フタは運転時のみ使用するのでフタが清潔に保たれる。
【デメリット】
- 運転しない時にフタをセットするとシンクがプール状態になる場合がある。
- 目皿部品が増えるので、お手入れする部品も増える。
考え②)低騒音と排水性を両立(フタの位置で使い分け)
●採用メーカー:テラル、安永、パナソニック
OFFの位置の状態ではフタと投入口の隙間が大きく、ONの位置の状態で隙間が小さくなるように工夫されている。
【メリット】
- ON時はフタの開口が小さいので運転中は低騒音。
- フタがOFFの位置だと排水されるのでシンクがプール状態になりにくい。
【デメリット】
- ON時で運転が停止(タイマー停止)するとシンクがプール状態になる場合がある。(運転が停止した段階でフタをOFFの位置に戻す作業が必要となる)
考え③)排水性を重視(低騒音よりも使い勝手を重視)
●採用メーカー:フロム工業
運転時、未使用時、関係なく排水されるようにフタの開口を大きく設計。食器洗い時との相性が良いのもバッチ式運転のメリット。運転が停止しても常時排水されるのでフタを元にもどす必要がない。
【メリット】
- 運転が停止しても、シンクがプール状態にならない。(運転が停止してもフタはそのままの位置で良い)
- 開口が大きいので、米粒程度の小さなごみなら粉砕室内に流れてくれる。(食器洗い時の運転との相性が良い)
【デメリット】
- 運転中の騒音(特に運転開始時)が①②と比べると大きくなる。
まとめ
今回は日ごろ注目されることのないフタに注目して少しマニアックな内容になってしまいました。運転時には必ず握るのがフタ。1日3回運転するなら少なくてもON,OFFの6回は握っていることでしょう。年間に換算すると2190回。デザインや機能も様々です。購入や交換をご検討の際は是非ともフタも検討材料に入れてみるのも良いかもしれません。
コメント
面白い、蓋形状も色々ある、メリット、デメリットある。みんな大した差はないと思ってましたが大きな差がありますね。シンプル ザ ベストはフロム?